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3 問題点と今後の展望
上記の地域医療部・総合診療部等の4大機能、即ち、?@医師供給、?A医師派遣以外の診療支援、?B教育・研究、?C院内・院外業務のそれぞれに分けて、問題点と今後の展望を述べる。
(1)医師供給
医師供給は、地域医療部・総合診療部等が設置された直接の動機であり、ほとんどの施設で雫施されている。
問題点としては、次のことが上げられる。
?@マンパワーの不足
各施設における定員あるいは現員数が少ないため、カバーできる診療所数に限界があり、また、診療所によっては週末がカバーされないなどの問題がある。定数及び現員数の増加が急がれなければならない。
?A従事医師の身分と将来
若い間は、診療所等への派遣と院内業務を両立させることが出来ても、これがいつまで続き、その後院内あるいは行政の組織の中で、どう処遇されるかに不安がある。現在は、パイオニアとして献身的に働く医師により運営されているところが多いが、この不安解消が?@のマンパワー不足解消につながる。

 

(2)医師派遣以外の診療支援
?@患者受け入れ調整
患者の受入れ、あるいはその調整の担当は、自然発生的に円滑に機能し始めているところが多い。
?Aコンピュータネットワーク
あらゆる分野でコンピュータネットワークは実用の域に達しており、県立病院地域医療部等連絡会でも、コンピュータネットワークの活用による診療支援に関するネットワークの組織化に向けて具体的な議論が行われた。これも実現性が高く、有用性のある機能と思われる。

 

(3)院内における教育・研究
地域医療部・総合診療部等の所属医師にとって、病院内での役割を専門医に理解してもらうことが重要である。医師の初期臨床研修が、早晩、総合診療方式(スーパーローテート)の方向に進むであろうことは疑いのないところである。総合的な臨床研修の指導を担当することにより、院内における役割が明瞭になるものと期待される。

 

(4)院内及び関連施設における診療
中ないし大規模病院における総合診療の位置付けについては議論のあるところである。今回の県立病院地域医療部等連絡会で報告された地域医療部・総合診療部等における実践例からみると、各診療科の間隙を埋める調整役を果たす、ときには、原因がすぐ把握できない症例や慢性化した症例、複数の疾患を持つ高齢者などでは、主治医役を果たすことにより、各専門医が専門診療に専念できる。一方、患者は各診療科をたらい回しされることや、それによる時間的、経済的損失が少なくなり、病院に対する信頼度が増すなどの効果があることが分かった。これらは病院の効率的な運営にも貢献するものと思われる。中・

 

 

 

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